自己愛の過剰摂取

メンヘラオタクが暇つぶしに何か書きます 

思い出

私は物持ちのいい方の人間で、気に入ったものをずっと使い続けるのが好き。元カノから貰ったこのイヤリングも、元カノと色違いで買ったこのワンピースも、私のお気に入りだ。

 

思い出の品というものが世の中にある。他人から見たらそこらへんで買える1万円くらいのイヤリングでも、彼女がくれたときの表情、このイヤリングをつけてでかけたときの楽しい時間、イヤリングをつけた私を満足げに見る彼女の表情、様々な思い出が蘇る。物と私の記憶がリンクして、感情が動くこの現象が好き。

 

「そんなイヤリングより、こっちのほうがずっとかわいいよ」

 

彼女は私が思い出の品をつけていることを嫌う。彼女の中には私しかいなくて、私の中にも彼女しかいない世界を望んでいる。彼女にとって過去は憎むものであって、良いものではないらしく、私の中の過去も同様に憎しみの対象らしい。

 

彼女がこれらの思い出を塗り潰そうと行動するたびに、私の中で思い出が増える。彼女が見たことのないアクセサリーを見て不機嫌になる顔、私が普段着なそうな系統の服をクローゼットから見つけたときの不満げな声。彼女は自分の愚かさや醜さを隠そうとせず、私にぶつけてくる。それはまるで子供のようで、おかしくって、けど愛おしくて、好きになる。

 

彼女は弱かった。何かを受け入れるにはまだ未熟すぎるようだ。けど私だってすべてを受け入れるわけではない。時に悲しくなったり嫉妬したりだってする。けどそれを表現するには、精神が摩耗しすぎてしまったように思う。彼女は未熟で純粋で、とても可愛らしい。私は彼女のそういう部分も好き。

 

そしてまだ、思い出の品を捨てずにいる。